ジャーナリストを夢見てニューヨークへ出てきた主人公が、ファッション業界の頂点に立つ雑誌社「ランウェイ」で悪魔と呼ばれる上司の元、1年間の修行の毎日を送る物語。仕事が上達していくに連れ、仕事と恋愛のバランスが崩れ始める。女性も働いてキャリアを築く時代のいま、自分にとって大事なものは何なのか、考えさせられる作品です。主役をアン・ハサウェイ、上司役をメリル・ストリープが演じ、豪華な俳優陣と豪華なファッションアイテムが揃う煌びやかな本作品をどうぞお楽しみください♪♪
ランウェイ
ノースウェスタン大学を卒業したアンドレア・サックス(アンディ)は、ジャーナリストを夢見て大都市ニューヨークへ来た。恋人のネイトと一緒に暮らしながら、各出版社に履歴書を送っている。そんなある日、やっと1つの会社から面接の連絡が来てアンディは向かった。そこはなんと、ファッション雑誌界の頂点に君臨する「ランウェイ」。
ファッションに疎いアンディは、適当に服を選び面接へやって来た。受付へ迎えに来た面接官エミリーはアンディを見るなり「これ何かの冗談?」と嘆く。仕方なく中へ連れて行きデスクへアンディを座らせるとエミリーは言った。「ここで1年働けばどこでも通用する。何百万もの人がここでの仕事に憧れを持っているけど、ファッションに興味がない人には関係ないかも」と嘲笑った。そして今回は第1アシスタントが昇進したため、エミリーが第2から第1へ繰り上がった。そのため第2アシスタントを募集している。エミリーがアンディへ色々と話していると、1件の通知がエミリーに入る。それを見るなり愕然とするエミリー。どうしたのかとアンディが聞くと、予定よりミランダが早く帰ってくるという。
編集長ミランダ・プリーストリー
メガネをかけた男性が、「全員戦闘大勢に入れ!」と号令をかけると、みな一斉に慌ただしくなった。履いていたスリッパを脱ぎピンヒールへ履き替え、身だしなみをチェック。その時、車が会社のビルの前へ到着し、1人の女性が降りてくる。この人こそが、このランウェイの編集長ミランダ・プリーストリーだ。プラダで着飾ったファッションをまとい、颯爽と中へ入っていく。彼女を見るなりドアマンはゲートの横の扉をあけ、エレベーターで居合わせた女性は降りていった。
ミランダのオフィスがあるフロアへ着くと、エミリーが出迎える。ミランダは間髪入れずに伝達事項をエミリーへ伝え、必死にメモを取るエミリー。アンディが座っていたテーブルへ乱暴にコートを投げつけ「この子誰?」と言いながら自分のオフィスへ入っていく。「何でもありません!」エミリーはそう言ったあと、きっと何かの手違いですと一応面接に来た子だと伝えた。すると「今まであなたがよこした人たちにろくな子はいなかった。今度は私が面接する。」といい、アンディを部屋へ呼んだ。
部屋に入ってきたアンディをつま先から見上げるミランダ。アンディはミランダの気迫と緊張で上手く喋れなかった。ファッションに興味はなく、ここの雑誌すらも知らなかったと見抜かれたアンディは、ファッションは分からなくても、仕事は出来る、きっと役に立てるとやけくそになって言う。その間にもミランダには次々と仕事が舞い込んできており、忙しそうで自分には興味がないだろうと悟ったアンディは、ミランダが話している最中に「お邪魔しました…」と言い部屋を後にした。
採用
エントランスで入館証を返却し、会社を後にしようとしたその時、後を追いかけてきたエミリーがジェスチャーで「こっちへ来て」という。アンディは見事採用が決まったのだ。エミリーは「信じらんない」といった顔をしていた。
その夜、アンディは彼氏や友人たちと祝杯をあげる。就職を皆で祝った。そしてみなアンディのファッションセンスが絶望的なのを分かっているらしく、彼氏のネイトは「電話面接だったの?」と茶化してくる。アンディは「ひどい!」と笑いながらも、1年何としても頑張る、家賃稼ぎにと再び乾杯をした。アンディは、これから始まる地獄を全く予想していなかった。
仕事初日
翌朝早朝。エミリーから電話がかかってきて、まだ寝ていたアンディを起こすとミランダの分のコーヒーやらその他雑用を嵐のごとく押し付けられる。一通り調達して会社へ向かうと、「どこほっつき歩いていたのよ!」とエミリーに怒られた。トイレをずっと我慢していたというエミリーはアンディに忠告する。「以前、ペーパーナイフで指を切った子が席を外し、取引先からの電話を取り損ねた。その子は飛ばされた。」というと、「死守します…」と言いデスクへつくアンディ。
エミリーの夢は第1アシスタントとしてミランダと一緒にパリ・コレへ同行し、パーティーへ出席すること。アンディの失敗はエミリーにも影響するため、くれぐれも迷惑をかけるなと念を押された。エミリーがトイレへ行きアンディが1人デスクでそわそわしていると、電話が鳴る。ミランダは会議中だと伝え折り返しになったが、「ガッバーナのスペルを教えてもらえます?」とアンディが聞くとガチャ切りされた。そこへ、メガネをかけた男性ナイジェルがアンディのためにハイヒールを持ってきた。私のことは分かってくれているから必要ないと断るも、「それは本当か?」と引かないナイジェルに仕方なく受け取る。するとミランダが「エミリー」と呼んだ。てっきりエミリーのことだと思っていたが、ナイジェルは「君のことだよ」と教えてくれた。
急いでミランダの元へ駆けつけると、物凄い量の注文に雑用を言いつけられる。スカートを2〜3枚と言われ、どんなスカートかを聞くと「くだらないこと聞かないで」とシャットダウンされた。そしてとりあえずデスクへ戻ろうとするアンディをミランダは呼び止め、つま先から頭の先までなめまわすように見る。この格好じゃダメだ!と焦ったアンディは、先程ナイジェルから借りた靴に急いで履き直した。そこへエミリーがトイレから戻ってくる。ミランダの注文を伝えると、エミリーは「どんなスカートが言ってた?」と聞く。質問したけど…と言いかけると「ミランダに質問してはダメ!」と忠告された。とりあえず仕事はエミリーが引き継ぎ、事なきを得る。
ランスルー
アンディが食堂でランチを食べようとしていると、ナイジェルが現れた。サイズ6だと体形に皮肉を込めて言うが、アンディはそんなに長い間この会社にいるつもりもないし、今の自分で満足していると聞き耳を持たない。そこへナイジェルの電話が鳴り、「すぐ行く」と言ってすぐ電話を切った。重要な会議を予定していたが、予定が前倒しになり既に遅刻だと分かった2人は急いでミランダの元へ行く。この会議はランスルーと呼ばれ、次なるトレンドファッションを決める重要な会議だった。
アンディは遠くで見てるよう言われ見学する。ミランダは用意されたファッションをどれもダメだとけなしていくが、1点だけ気に入ったドレスがあり手に取る。「ベルトを持ってきて」とミランダが言い、アシスタントが2本のベルトを持ってきた。「選べません…全く違うので…」というスタッフに、見学しながらメモを取っていたアンディが思わずフッと笑う。ミランダは振り返り、「なにかおかしい?」と驚いた表情をすると、「いや、私には全く同じに見えるので」とアンディは答えた。
するとミランダは、ファッションに興味がないようだけど、あなたが着ているそのセーターはブルーじゃなくセルリアン。その色のセーターをあるデザイナーが発表し、またたくまに人気を博した。そしてそれを小売店がマネして売るようになり、あなたがそれをセールで買う。自分には関係ないことだと思っているそのセーターは、私たちのような人間がここで作り上げてきたものなのだと、アンディをまくし立てた。
家へ帰り彼氏のネイトに今日の愚痴をぶちまける。大理石をハイヒールで歩く人種を”コツコツ”と呼ぶアンディは、コツコツたちはあの悪魔みたいな人を神のごとく崇めている、正気の沙汰ではないと感じていた。「嫌なら辞めろ」と言うネイトへ、負けたくない、1年耐えると根性を見せた。翌日も相変わらずの無茶ぶりが続き、ついに心が折れたアンディはナイジェルに泣きつく。
ナイジェルの激励
アンディは「私がちゃんとやっても認めてくれない。お礼すら言ってもらえないのに失敗するとまるで悪魔!」とついに感情が爆発した。しかしそれを冷静に聞いていたナイジェルは「嫌なら辞めろ。代わりは5分で見つかる」と冷たく突き放す。辞めたかった訳ではなく、ただ自分の気持ちを理解して欲しかったというアンディにナイジェルは現実を突きつけた。
「キミは努力していない。ただ愚痴を並べているだけだ。ランウェイはただの雑誌なんかじゃない。サッカーの練習と偽り、実際には裁縫部に通って毛布に隠れながらランウェイを読んでた少年にはね。ここでどんな伝説が生まれてきたと思う?それなのに、君は関心すらない。何人もの人が命を投げ打ってでも働きたいその場所で、君は働いてくださってるんだもんな。そしてどうして彼女が褒めてくれないのかと嘆く。甘ったれるんじゃない。」
ナイジェルの言葉が胸に響いたアンディ。自分の立場を再認識して、まずは何が出来るかを考えた。いい事を思いついたアンディはナイジェルを見つめる。「ダメだ。」と言ったナイジェルだったが、「君に着れる服がここにあるかな?」なんて皮肉を言いつつもアンディへ衣装を貸し、プロのメイクを受けさせた。見違えるように変身したアンディが自分のデスクへ戻ると、エミリーとその同僚が口を開けて驚く。それからというもの、アンディは素敵な洋服を身にまとい、次第にファッションの良さに気づいて行く。出張から戻ったミランダもアンディの変わりように驚いていた。
本を届ける
ある日、ネイトを含めた友人たちとの集まりに少し遅れてしまったアンディ。今まで着なかったような服を着て、いつから仕事人間になったのかとみんなに皮肉を言われるが、ミランダが要らないと言って貰って来た高級バッグや香水などのアイテムを渡すと一気に機嫌が直る友人。するとミランダからの着信が。この電話にはいつ何時でも出なければならない。友人たち茶化してアンディから携帯を取り上げ、アンディが怒る。何とか携帯を取り返し電話に出ると、仕事を頼まれた。
あるデザイナーの家へ行き資料を取ってくる任務を授かったアンディが家へ行くと、パーティーをしているのか沢山の人がいる。デザイナーはアンディへ資料を渡すと、1杯飲んで行ってとバーカウンターへ案内した。そこで、憧れのライターであるクリスチャン・トンプソンに出会う。興奮しながらも軽く話をしてその日は帰った。
翌日、ミランダに「今日、本はあなたが届けて」と言われる。本とは次号のサンプルで、毎回必ずミランダがチェックするものだ。第2アシスタントの仕事だが、「あなたが変質者じゃないと分かるまでは私がやる」と今までエミリーが担っていた。大事な仕事を任されるようになったアンディは喜んだが、エミリーは深刻な顔で「今から言うことをよく聞いて」と言う。アンディーはしっかりとメモを取ろうとしていた。
ミッションインポッシブル
まず22時頃にあがってくる本を待つ。それから運転手にミランダの家へ連れてってもらい、預かっている鍵で中へ入る。取ってきたクリーニングをクローゼットの中へしまい、花が飾ってあるテーブルへ本を置く。誰とも話してはいけない。そう教わったアンディが言われた通り家へ行くと、クローゼットか分からない部屋のドアがいくつもあり、色んなテーブルに花が飾ってある。アンディがパニックになっていると、上階からミランダの双子の娘が話しかけてきた。こっそりクローゼットの場所を教えてもらい、本を置く位置をついでに聞いたが、「私たちにちょーだい。今までもそうしてた」とイタズラする気満々の姉妹が言う。アンディは不審に思いつつも双子の言葉を信じて上へ向かうと、2階で口論しているミランダと夫がいた。2人はアンディに気づき口論をやめる。アンディは気まずそうに「ごめんなさい!」と謝ると、本を床へ置き勢いよくその場を立ち去った。
翌日、出社するとエミリーにどやされるアンディ。何があったのか知らないがご機嫌斜めだというミランダの様子をエミリーが伝えると、昨夜の出来事を話すアンディ。「アンタがクビになったら私のパリ行きにも影響が出るかもしれない。もしそうなったら、町中のファーストフード店を練り歩いて必ず見つけ出してやる!」と怒り心頭のエミリー。その時、ミランダがアンディを呼ぶ。恐る恐るミランダの元へ足を進めると、ミランダが仕事を何件か頼みだした。カミナリを落とされると思っていたアンディは拍子抜けし、「それだけ?」と驚いている。頼まれた用事の中に、ミランダの双子の娘へハリーポッターの新刊を届ける任務があった。本屋へ急ごうとするアンディだったが、その本は”発売前”の新刊だったのだ。出版業界ならコネがあるでしょうと無茶ぶりをいうミランダ。続けて「手に入らなければもう戻って来なくていい」と最後通告をアンディへ突きつけた。
アンディはダメ元でデザイナーの家で会ったクリスチャン・トンプソンへ電話を掛ける。執筆者である彼に、何とかコネを使ってハリーポッターの原稿を手に入れられないか聞いたが、さすがのトンプソンにも難しいようだ。アンディは彼氏のネイトへ電話をかけ、クビにされる前に辞めてやると愚痴を吐いた。今夜はお祝いをしようと彼氏が元気づけてくれて電話を切る。するとトンプソンから連絡が入り、なんと出版前の原稿が手に入ったのだ。アンディはすかさずミランダの元へ原稿を届ける。背表紙をつけ、本のように見栄えを良くしてから渡した。
ミランダはこの1つのご立派な本をどうやって2人で読むのかと疑問を投げかける。するとアンディは、既に2部コピーを取ってシッターの元へ届け済みで、これは念のための1冊だと言うとミランダは何も言えなくなり顔がひきつる。アンディは不可能なミッションを見事やってのけた。その夜、仕事ばかりのアンディが辞めると聞き上機嫌で帰宅したネイト。しかし部屋に入るなり双子の宿題をやっているアンディを見て溜息をつく。少しずつネイトとのすれ違いが生まれてきた。翌日、雑誌の撮影に同行していたナイジェルの元へ行ったアンディが昨夜の件を話すと、「私生活全てが崩壊したら言ってくれ。昇進の時だ。」と謎の迷言で励ます。
すれ違う2人
ミランダが次月号の打ち合わせをしていると、風邪を引いたエミリーが辛そうに資料を持ってやってきた。その夜は重要なパーティーがあり、第1アシスタントが同行する。しかしミランダはエミリーが万全の状態でないため、第2アシスタントであるアンディにも同行を頼んだ。しかしこの日はネイトの誕生日。友人へ少し遅れる旨の連絡を入れ、さっさとパーティーの挨拶だけ済ませて帰ろうと思っていた。
アシスタントとしての仕事はただ1つ。来賓者の名前と特徴を覚え、ミランダへ伝えること。アンディは数時間で資料を覚えなければならなかった。シックなドレスに身を包み会場へやってきたエミリーとアンディ。次々とミランダの元へやってくる人たちの情報をエミリーは必死に伝えていた。しかし、ある夫婦が近づいて来た時、エミリーは思い出せなくてパニックになる。そこでアンディがミランダへ情報を伝え、エミリーに助け舟を出した。
思ったより遅くなってしまったと急いで会場を後にするアンディ。すると入口でトンプソンに出くわす。以前送ってくれた記事が良かったからと、来賓にアンディを紹介するというトンプソン。それに原稿のお礼もしたいからと一緒に中へ入るよう頼んだ。将来の夢の糸口が開けるかもしれないチャンスに、「1杯だけなら…」と言ったアンディだったが、ネイトの事を思い断った。家へ帰ると既に誕生日パーティーは終わっており、不機嫌なネイトがソファに座っている。アンディは遅れたことを謝り少し話そうと持ちかけるが、「先に寝る」と言って部屋へ行ってしまった。仕事と彼氏の狭間で悩むアンディ。
究極の選択
その後、日課の本をミランダの家へ届けにきたアンディが家へ入ると、奥の部屋からミランダが呼ぶ。ミランダは、パリへは最高のスタッフを連れて行くと言い、今年はエミリーではなくアンディを連れて行くと伝えた。アンディは嬉しかったが、同時にその残酷さに絶望する。ずっと前から楽しみにしていたエミリーの夢を奪えないと断るが、ミランダの命令は絶対だ。アンディは思い悩みながら家へ帰った。
翌日、ミランダはいつもアンディに渡していたコートとバッグを、この日はエミリーのデスクへ置いた。そして、「今すぐエミリーに話しなさい」と言う。エミリーはこの時ミランダのお使いに出ており、アンディは「絶対電話に出ないで…」と念じながら電話をかけた。するとエミリーが電話にでてしまう。遅くなってごめんと弁解しながらすぐ会社へ戻るというエミリー。そこで話があるとアンディが切り出すと、話に夢中で信号を見ておらず道に飛び出したエミリーが車に轢かれてしまう。
すぐにアンディが病院にかけつけたが、エミリーは足の骨を折っており、パリ行きは絶望的だった。ミランダには逆らえないというアンディにブチ切れ状態のエミリー。ファッションは興味ないフリしておきながら!と泣きながら悔しさを訴える。しまいには「出てって!」と言われ病室を追い出されてしまった。
別れ
その夜、アンディは親友リリーの展示会へ行くと、そこでクリスチャン・トンプソンと再び出くわす。アンディはパリに一緒に行くことになったと話すと、向こうで一緒に過ごそうとトンプソンが口説いてきた。彼氏が居るからとやんわり断ったが、仲良さそうにしているところを親友に観られてしまう。誤解を解こうと親友を追いかけるが、「16年間親友だったあのアンディはどこ行っちゃったの?」と取り合ってもくれなかった。
仕方なく展示会を後にしようとした時にネイトがやってくる。そこで皮肉を言われたアンディはイライラが頂点に達し「あなたも敵なのね!」と吐き捨て立ち去ろうとする。それをネイトが呼び止めると、仕事に誇りを持っていればどんな仕事だって応援するが、今の君は別人となり四六時中かかってくる電話にでるそのボスがもはや恋人だと。今までの不満をぶちまけた。そして、自分たちは既に違う方向を向いてしまってると言い、別れを告げる。さすがのアンディも驚き考え直すよう引き留めるが、そこでミランダからの電話が。「出ろよ」というネイトに出る事をためらうも、結局電話に出たアンディ。ネイトはその場から立ち去った。
パリ・コレ
私生活が崩壊したアンディはミランダと共にパリへ渡る。到着するやいなやパリ・コレを鑑賞し、報道陣からの取材を受けたりと大忙しの2人。そこでまたもやトンブソンに出会う。アンディは世間話から彼氏と別れた件を話した。その夜、ミランダに呼ばれたアンディは部屋へ行き、持ってきた書類を渡す。ミランダは疲れ切ったような顔をしており、やつれていた。アンディが話を聞こうとするとミランダが切り出す。
「また離婚」と、2人目の夫と離婚することになったと話した。きっとまた週刊誌の餌食となり、悪魔がまた夫を追い出したと書かれるに違いないと落ち込んでいる。ミランダは自分の心配より娘たちの心配をしていた。やり方はどうあれ、ミランダの仕事っぷりに尊敬の念を抱き始めていたアンディは心から同情する。何か自分に出来る事はないかと慰めるが、「仕事して!」といかにもミランダらしい答えが返ってきた。
部屋に戻るとドアがノックされ、開けるとナイジェルがいた。ナイジェルはデザイナーのホルト・ブランドのパートナーとしてやっていくことになったと嬉しそうに報告する。アンディも自分のことのように喜んだが、ナイジェルがいなくなるのは寂しいと嘆く。とりあえず乾杯しようと、シャンパンを開け乾杯した。ナイジェルはアンディの服のサイズが1サイズ下がり、美しく服を着こなしている努力を褒める。
クーデター
その後、トンプソンと食事をしたアンディはパリの街を散歩する。彼氏と別れたと知り口説いてくるトンプソンを度々かわしていたが、「もう断る理由がなくなった…」と彼とキスをし、ホテルで一夜を過ごした。
翌朝、寝坊して慌てて飛び起きたアンディ。服を取ろうとソファの荷物に手をかけると、トンプソンの荷物が落ちてくる。ふいに目を向けると、見知らぬ「ランウェイ」の見本があった。これは何かとトンプソンへ聞くと、ミランダをランウェイから解任し、フランス版ランウェイのジャクリーヌを新編集長として迎えることが決まったと話す。そしてジャクリーヌは自分を雇ってくれる、これでみんな安泰だと言った。
「あれだけ全てを投げうって、生活の全てを捧げてミランダは仕事をしているというのに…。」ミランダへのクーデターを知ったアンディは部屋を飛び出し、必死にミランダへ伝えようと電話をかけ続ける。しかしミランダは「今忙しい」とすぐに電話を切ってしまった。仕方なくミランダの部屋へ突撃するも、中から出てきたのはランウェイの会長。「今取り込み中だから出てって」とアンディを追い出し、仕方なくアンディはパーティー会場でミランダを待った。
ミランダの策略
やってきたミランダへ状況を伝えるも、ミランダは相手にしてくれない。そしてそのままパーティーが始まってしまった。ミランダがスピーチをする順番が回って来る。ミランダはホルトへお祝いの言葉を述べ、新しいパートナーとしてナイジェルではなくジャクリーヌを紹介した。自分がパートナーになるはずだったナイジェルは状況が読めない。同じく、ジャクリーヌと仕事をするはずだったトンプソンも困惑していた。
実はミランダは、陰で何やら動きがあることをいち早く察知し、手を回していたのだ。アンディが朝ミランダの部屋を訪れた際に会長がいたのは、その話をするためにミランダが呼び出したからだった。自分を解任するなら大勢のスタッフが共に去ると、署名した紙をミランダが渡すと会長も折れたらしい。落胆したナイジェルを慰めるアンディ。「きっといつか見返りをくれるさ」とナイジェルは苦笑いした。
帰りの車の中で、アンディはナイジェルにした仕打ちの件でミランダを責めた。するとミランダは「あなただってエミリーにしたじゃない」と返す。あれは仕方なかったと言うアンディに、同じことだと言うミランダ。自分の地位を守るためなら何でもする、時には他者を蹴落とさねばならばいと悟ると、「自分はそうなりたくない」と車を降りたアンディはミランダの元から去った。
新たな一歩
後日、かつての冴えない服を着たアンディはネイトに会いに行く。そこで、会社を辞めたことと、今までの事を謝罪した。ネイトもその間進展があり、別の街で雇ってくれるレストランを見つけたとアンディに報告する。離れ離れになってしまうのか不安になるアンディに、「何か方法を見つけよう」と笑顔を見せたネイト。
その後、ニューヨークの新聞社へ面接に行ったアンディ。そこで、ランウェイを突然やめた理由を聞かれ、全てやり切ったと返すアンディ。面接官の男性は真実が知りたくて、数日前にランウェイに問い合わせていた。するとミランダから直々に返事があったという。そこで「彼女は最も私の期待を裏切ってくれた。雇わなければあなたはバカだ」と言われたことを伝えた。「最高の誉め言葉だよ」とアンディに伝える面接官。アンディはその場で採用が決まった。
帰り道。ランウェイの前を通りがかり、ふとエミリーに電話したアンディ。自分にはもう必要がないと、パリで着た服をもらってくれないかと依頼した。エミリーが「仕方ないからもらってあげるわよ」とふてくされたように言うと、電話を切って笑顔になる。そして真顔で向き直り、新しい第2アシスタントへ「前任者の穴を埋めるのは大変よ!」と喝を入れた。
電話を切ったアンディは、ちょうど会社の前についたミランダの車を見つける。眺めていると会社の中からミランダが出てきた。そして車に乗ろうとしたその瞬間、一瞬目が合いアンディが会釈する。しかしミランダは無視してそのまま車に乗ってしまった。相変わらずだと思いながらアンディが笑顔で立ち去ると、車の中でアンディを見つめ、ミランダはそっと微笑んだ。
「プラダを着た悪魔」総合評価
星 5.0
1番好きな映画は?と聞かれたら必ずこの映画をあげるほど大好きな作品です。華々しいハイブランドのファッションを身にまとい、コーヒーを片手にタクシーで出社する様は誰もが1度は憧れるのではないでしょうか!この映画を見ると、お洒落に着飾りたいという女性らしい感情が芽生え、明日からまた仕事を頑張ろうという力がみなぎってきます。何度みても楽しめる映画です。配役もとてもマッチしていて違和感がなく、ストーリー展開も分かりやすい、申し分ない作品だと思います。